2010/12/29

日本人から見たインド

と、いうタイトルにさせていただいたのも、
今回は、11月に来て下さったボランティアの松木 秀樹さんのご紹介、
とさせていただきたいと思います。


というのも、松木さん。

なんと、インドのこと、マザーベイビースクールのことを、
社内誌に寄稿してくださいました!


その内容がまた、面白いのです!

私は早インドに駐在して2年ちょっと。

こんな気持ちからはちょっとずつ遠ざかっていっています。


そんな松木さんの寄稿文を通して、
普通の日本人だったら、こんな風に思うのだな・・・と。


ちょっと驚いた私もいましたが、これが正直な感想なのだろう。


そしてこの寄稿文は、これから来る皆様の参考にもなるのではないかと思い、
ブログに掲載していいかと伺ったところ、快く承諾してくださったので、
ここにて紹介させていただきたいと思います。


ボランティアでご一緒させていただいたのは、数日間でしたが、
パワフルで、温厚で、明朗活発!

ユーモアたっぷりで、こんなお兄さんがいたら自慢したい、そんな印象を受けました。

いつも温かい笑顔でいてくれた松木さん、
きっとそのパワーで、周りの方たちを幸せにしていくのだなぁと思いました。



それでは、以下超大作、どうぞおたのしみあれ~☆





氏名:松木秀樹(40才)

住所:愛知県名古屋市

性格:知的で優しくウィットに溢れて湧き出る言葉からは常に力強さと希望を感じさせるまさにリーダー的存在等とは一切書かなくて結構ですので御随意にお任せします。
(とのことだったので、もちろんそのまま掲載させていただきました。笑)



*******社内誌寄稿文*******


「折角のお休みになぜ、わざわざそんな貧しい思いをしに行くの?」


昨年タイにて、国籍すら認めてもらえない"モーケン"と言う部族を訪問するボランティア
ツアーに参加し、帰国後暫くして会社の同僚に尋ねられました。その時自分はどう答えた
のか、正直憶えていません。


今回は、2010年11月下旬にチャージ休暇5日間を使って訪問したバラナシ(インド)の
フリースクールについて執筆させて頂きます。


私の個人的な旅のお話ですが、見てきた事を皆さんの目のように、
そしてバラナシの子供達の思いを彼らの言葉のようにお伝えできれば。

そして先の疑問に対する答えの助けになれば幸いです。

(道中での「帰国出来ないかもトラブル談」「左手で飯食っとるやん」
「恐怖ガンジス河感染症」等は、個人的にお尋ね頂ければビールでも嗜みつつ・・。)



夜インドに到着しニューデリーで一泊を迎えた朝、私はこの先どう旅程を組むか、朝食し
ながら検討しようと街に出ました。宿泊先の玄関を出て目に飛び込んできたのは・・・


我が物顔で散歩中の牛(き、聞いていた通り)、
けたたましくクラクションを鳴り響かしながら疾走するバイクとオートリクシャー(うるさい)、
浅黒い肌に映える白い眼を一斉に私に向ける群集(たじろく)でした。


あまりに異様な光景に旅の始まりに対する期待と不安で心臓がドキドキしましたが、
少し歩き出すと心臓が危うく止まりかけました。


背後から「ア~ア~」と言う声が聞こえたので振り向くと、
両脚の無い少年が両手で地面を引きずりながら近寄って来るではありませんか。(R2D2!?)

その少年は片手を挙げ「ア~ア~」と何か恵めと訴えかけて来ます。
動揺した私は「見えなかった」と自分に言い聞かせ、元の進行方向に足を向けました。

普通に歩く私にその少年が追いつくはずもなく、背後に「ァ~ァ~」と言う声が小さくなるかならないかの内、
正面を見ると、そこにいたのは半目でぐったりした乳児を抱えた老婆(?)でした。

どうやら「この子に暫く何も口にさせていない。そこの売店で粉ミルクが買えるから助けて欲しい」
と言っているようです。


心臓の鼓動が正常に戻らぬまま困惑していると、男性が横から割って入り、強い口調でその女性を追い払いました。

(助けられた?)


その男性は私に近寄り
「ネパール人?違う?あ、日本人?あーゆーの相手してちゃ駄目だよぉ。
私は親切。旅行者でしょ?
すぐそこで無料地図配布してるからおいでよ。
だーい丈夫、政府の出窓だから安心して。」


客引き攻撃でした。


私は「親切」「安心」を連呼する人に対して頭に警報が鳴ります
(実際には本当に親切な方も沢山いらっしゃいましたが)。


こうした手合いには割と慣れており早々に追い払う事が出来ましたが、
客引き男性の向こうにトボトボと歩く老婆の姿が胸を痛めました。



こうした(貧困と格差(差別)の実態)光景はテレビや本等で紹介されていますが、
決して「稀」なものではなく、滞在中のインドでは毎日、
電車であろうと何処ででも繰り広げられていました。



沐浴が目的で訪れたバラナシでは、ガンジス河沿いを少し歩くと
キャンプファイアーのように薪が積まれ炎が立ち上っていました。


薪の間には人の姿が見え、ここでは毎日亡くなった方の葬儀が行われていました。


但し火葬されているのは、定職があり、家族を持っている人のみで、
犯罪者や不貞により生まれた子供、身寄りの無い人等は火葬されず、
布を身体に巻かれたのみでガンジス河に流されます。



その日の食料や住居にもありつけない人々。



こうした実態を目の当たりにし、「自分は一体何が出来るのか」疑問が頭をもたげます。



路上で助けを求める彼らに自分のポケットマネーを与えるのも一つの大事な事かも知れません。

しかし、そのお金が尽きた以降、また彼らの子供達はどう過ごせば良いのでしょうか?



その答えのヒントが、今回訪ねた"Mother Baby School"と言うフリースクールにありました。

フリースクールとは、経済的恵まれない環境にある等の子供達に無償で授業を行う学校を
指します。


"Mother Baby School"は、日本のNPO法人オンザロードが、
2008年バラナシで開校した「現地スタッフとボランティア」により運営される小学校です。


この学校のユニークな所は「我々旅行者であっても気軽に授業に参加出来る点」
そして「オンザロード手作りのとっても可愛いこの学校に宿泊(有料)し、
地元の人々と交流出来る点」の2本柱である事(スクール&ロッジ)です。
(注:2010/11/25時点では、教室拡張工事中の為宿泊は出来ませんでした)



"Mother Baby School"には今回、予約無しの突然参加でしたが、
スタッフの方には「大歓迎です!」と笑顔で受け入れて頂きとても気持ちよく参加出来ました。



昼頃学校に到着すると先ず、スタッフから学校のあらましや授業の進め方等を教わり、
授業が始まるまでの間は鬼ごっこやサッカー等して子供達と遊んで過ごします。


この日の生徒は概ね5~12才の20数人。

登校頻度も勉強レベルもバラバラの為、
スタッフとボランティア参加者により基本マンツーマンで授業を行います。


私が担当した生徒はチャンダン君。

お互い元気良く挨拶をし、先ずは英語のレッスンからです。


スタッフの方が用意してくれたA4のコピー紙にあるのは
"My sister is eating lunch"等の英語文と、
その上に「メ ディンカ カーナー・・・」
なる謎のカタカナ(ヒンディー語)文。

このカタカナを読み上げ、生徒は自分のノートに英訳文を記す段取りのようです。

チャンダン君、とっても元気良く授業に取り組んでくれてます。

時々、間違った綴りを直して授業は順調に。

が、、、

この辺は何処の国でも同じです。

30分もすると後ろの席の生徒にちょっかいを出す等落ち着きが無くなり始めます。

「続けるよ!」

少し強い口調でたしなめると勉強は再開するのですが、
今度は小声で「ねぇ、知ってる?僕彼女いるんだよ。キスした事あるんだよ」

「え!?本当!?」

チャンダン君、私の気を逸らすのがとても上手です。



英語が終わると次は算数。

簡単な分数の足し算、掛け算が解けるのですが、なぜか約分が出来ない。

私も必死に教えようとするのですが、
勉強に飽きてきたチャンダン君の耳にはなかなか届きません。


インドでの九九は、日本の9×9ではなく20×20マスを使うようで、
計算力は高いようです(生徒によりバラつきはありますが)が、
どうやらチャンダン君は分数の計算(解の出し方)は分かっても、
そもそも分数の意味が理解出来ていないようです。


結局その日は断念。


夜悩み抜き、二日目に再チャレンジです!



二日目もスタッフの方にお願いしてチャンダン君の担当に。

ピザを4分割にした絵と半分に切った絵を書き2/4=1/2である事を教えてみました。

本人も「あ~そんな事言いたかったのか」と意図も簡単そうにうなずいてくれました。


(お、イケるか!?)


では問題です。

3/6=何?

「ん~・・1/18!」

・・・なんでやねん。


結局分数を理解して貰えたかは謎のままですが、
私の必死の形相に、この日はチャンダン君も集中して勉強してくれたのが
とても嬉しかったです。


隣で教えていたボランティア参加者の方などは

「いーですねー。私の担当の子、ちっとも言う事聞いてくれなくて・・・」

とため息。


決してインドだけの話ではないのでしょうが、
お転婆盛りの子供達に勉強を教える苦労を思い知らされました。



学校では、英語と算数が終わると課外授業として
ビーズアクセサリーやピアス、栞などを生徒が作ります。


これは現地や日本で販売して活動資金に充てたり、
支援者へのプレゼントにしたりします。


栞には子供達の直筆メッセージが入っており、中には"Dream Come True"
なんて生意気なメッセージも。



この学校の子供達はとにかく元気で、皆凄く素敵な笑顔を振りまいてくれます。


彼らも決して裕福な環境では無いのでしょうが、
街の路上で見かける子供達とは明らかに違います。



本当の理由は分かりませんが、その答えの一つに「学校」があるのでは無いでしょうか?



学校には友達がいます。

読み書きを教えてくれ、将来に夢を持たせてくれます。


きっとその希望が笑顔の大きなエネルギーになっているのでしょう。



私は当たり前のように学校へ行き、卒業し、○○○(会社名)へ入社出来ました。

世界にはこんなに多くの子供達が小学校にすら行けないというのに・・・。



有名な「もし世界が100人の村だったら」より。

80人は標準以下の居住環境に住み

70人は文字が読めません

50人は栄養失調に苦しみ

1人が瀕死の状態にあり

1人は今生まれようとしています
(作者不詳/訳なかのひろみ)



"Mother Baby School"の生徒の一人が埃まみれの擦り切れた衣服にも関わらず、
少女漫画のようなキラキラ瞳で言いました。


「学校だ~い好き!」


そして別れ際にはとても大きな声で「バィバ~イ!またねぇ~!」




休暇を取得するにあたり協力してくれたスタッフの皆様、
毎度無茶な旅をするにも関わらず快く送り出してくれてる家族、
現地で暖かく迎えてくれたMother Baby Schoolスタッフや子供たち、
参加ボランティアの皆様、
そして、苦しみ悩みながらも○○○(会社名)を支えてくれている全ての社員とお客様、
その他書き切れない全ての恩恵によりこの度貴重な体験が出来ました。


ありがとうございました。



本稿を読んで頂き、何か少し胸に湧き上がった方、下記HP見て下さい。

もし出来たら、応援のメッセージを送る、又は実際の支援を検討下さい。

それが無理でも一度、周囲の方と話題にしてみて下さい。

これから休暇を取得される方、バラナシを候補地に入れてみて下さい。


NPO法人オンザロード



旅の間読んだ書籍

★"ガンジス河でバタフライ"by たかの てるこ
→インドがどんな国か怖かったので、取り敢えず飛行機の中で。

★"これからの「正義」の話をしよう"by Michael J.Sandel
→友人・家族・社内従業員・地域住民・世界中の貧困者や富裕層に対しどう向き合って
いくのが自身の正義なのか。ガンジス河のほとりで葬られる死者を前に考えさせられ
た一冊。(スタッフ部門・役職者諸氏には特に推奨します)


**********************************************


どうでしたか?皆さん。


これでインド、マザーベイビースクールに来たくなったこと、間違いなし!(笑)


一歩踏み出せる勇気が出たあなた!

まいこはいつでもあなたからの連絡をお待ちしていますよ☆


それでは、近い未来でお会いすることを楽しみに・・・・


ナマステ~♪

0 件のコメント:

コメントを投稿